エアーバンド受信のための受信機選び

エアーバンド受信といっても、受信対象や、個人それぞれのスタイルがあるので、ここに書いたことがすべての人に当てはまるとは限りません
私自身、ネットや雑誌の情報を見ても、実機を購入すると評判と違うことがほとんどで、結局使ってみないとわからない、というのが結論です
特に民間しか聞かない人と、軍用中心の人では評価がかなり違います
ハンディーか、固定機かで悩む人が多いですが、とりあえず一台買うのなら、ハンディーが良いと思います。空港で聞くのは家で聞くのとは全く違います

周波数

周波数はVが118-143MHz、Uが225-400MHzまでカバーしていれば問題ありません
民間機は118-136MHzまでしか使いませんが、軍用機はその上も使います
実際によく使われるのは、118-141, 225-370付近です。最低でもこのあたりはカバーしないと使えません

その他に陸自のLow VHFが30-70MHz、自衛隊や米軍の連絡波が150MHz台なので、このあたりもカバーしていればベストです
空自は390MHz前後(FM)にも連絡波があります

HFエアーバンドは、最近聞いてもあまりおもしろくない場合が多いですが、受信できる方が良いでしょう

たまにラジオやTVを聞いたり、他の物も聞きたくなったりするので、受信周波数が広いに越したことはないです(特にハンディー)

多くのメーカーは、コードレス電話などが受信できないように、一部周波数が歯抜けになっています
UHFエアーバンドにかかっている上に、サーチする際に分断されたりすることがあるので問題になりますが、大体受信改造することで歯抜けは解消できます
店で販売されている時点で受信改造されている場合が多いですが、一応購入時に確認した方が良いです

受信モード

モードはエアーバンドはAM、陸自のLow Vや連絡波はFMです
HFを受信する場合、USBモードに対応していないと無意味です
ほとんどの機種は、オートモード機能を備えています。受信周波数に応じて自動でモードを設定してくれますが、エアーバンドの一部(Vの上の方、Uの一部)ではFMに設定される場合がほとんどで、エアーバンド受信に限ればオートを切った方が便利です

ステップ

エアーバンドに必要な受信ステップは、8.33/25/50/100KHzです
8.33は現在の所ヨーロッパなどの周波数が逼迫している国でしか使用されていません
日本では25KHzステップさえあまり使用されていないので、近い将来8.33になる可能性は低いと思います
海外で使用することを考えるなら、8.33は必須です
国によっては、受信機の持ち込みや使用が禁止されている場合があります。必ず事前に調査されることをお勧めします
連絡波を受信する際には、10KHzステップが必要です
HFの場合、できる限り小さいステップが望ましいです。機種によってはファインチューニング可能な物もあります

ほとんどの機種にオートステップ機能があります。これは周波数に応じて最適のステップを自動設定してくれる機能ですが、エアーバンドでは適正に設定されることが少なく、逆に使いづらいです
オートでしか設定できない機種は少ないと思いますが、ステップ設定が面倒な機種は非常に使いづらいです
MVT-9000のように、入力した周波数をオートステップに応じて丸めて設定してしまう機種もあります(317.85MHzが317.8MHzになってしまう)

受信性能

感度は良いに超したことはありません。ハンディーなどは、空港で聞くのなら感度は二の次、などとよくいわれますが、実際には遠距離の交信も聞く必要があったりして、低感度の物は使えません。羽田で聞くだけとかなら何でも良いですが
Uは特に減衰が激しいので、基地で聞いていても訓練空域での交信はかなり弱くなります

感度が良いと問題になるのが、混変調です。特に空港で使用する際に、強力な発信源が近いため、混変調に悩まされる場合があります。Vオンリーなら、AORのエアーバンドフィルターを使用すると、非常に効果があります

イメージは、サーチする際に問題になります。新たな周波数を発見しても、それがイメージだった、ということは良くあります。なので、別の受信機で確認するのが望ましいです。そのためにも、違うメーカーの受信機を持っていると便利です

メモリー

今時の受信機は、大体1000ch前後のメモリーを持っています
私の使い方では、メモリーの総数よりバンクが足りなくなります
100chの10バンクより、50chの20バンクの方が使い勝手が良いです
ALINCOのDJ-X8やAORのAR8200Mk3はバンクサイズが可変なので、理想的です(AR8200は完全に可変ではありません)
いつも決まった空港にしか行かない人は、あまり多くのバンクは必要ないと思いますが
複数の空港を受信する場合、バンク分けしないととても使いづらいです
私のIC-R20の場合
A : 横田, B : 厚木, C : 羽田, D : 百里, E : 入間, F : 立川, G : 調布というようにバンク分けしています
この他に全国ACC(札幌/東京/福岡/沖縄で別)、空軍、海兵隊関係、空自GCIで数バンクなど
更に、他の空港に臨時展開する際のバンクなど、いくらあっても足りません
現実には、展開前にソフトでバンク書き換えをしていきます
バンクの管理は、メーカーによって使い勝手の差が大きく、特にPC管理できない機種は、一度メモリーするとバンク変更するのは大変です
スキャン時に複数バンクをリンクしてスキャンする機能は欲しいです

メーカーによっては、スペック表のメモリー数にPASS用やサーチ範囲設定用を含んでいる場合があります
例えばIC-R20のカタログは「1250ch(スキャンエッジ、オートメモリーライトチャンネルを含む)」という表記になっていて
純粋なメモリーは1000chです
アマチュア無線機メーカーにそういう表記の物が多いようですが、よく調べないと、大幅にch数が少ない場合があります
IC-R20では、パス周波数は通常メモリーを使用するため、大量にパスするとその分普通に使えるメモリーは減少します
AR8200はパス専用メモリーを持っていますが、パス登録できる数はこのメモリー数に制限されます。どちらの方式が良いか悩ましいところです

スキャン速度は重要です。スピードの遅い機種は使い物になりません
アマチュア機は遅い場合が多いようです
最低でも20ch/secくらいは欲しいところです
カタログでは20ch/secになっていても、周波数の並びなどの条件で、急にスピードが遅くなる機種があります。この辺は実際使ってみないとわかりにくいので、注意が必要です
スピードが速くても、弱い電波できちんと停止してくれないと意味がありません

表示

表示が見にくい機種は使いづらいです
液晶表示が一般的ですが、暗かったり、角度によって見にくい機種もあります
特にハンディーではバックライトも重要です
ボタンを押している間しか点灯しない物や、タイマーで消える物がありますが
使い方は人それぞれなので、できれば設定変更できる方が良いです

バンク名、メモリー名を設定できると、格段に使いやすくなります
個人的にはエアーバンド受信機には必須の機能だと思います
文字数は8文字程度あれば問題ありません
カナは無くてもなんとかなりますが、あるに越したことはないです
ドットマトリックス表示でない物は、メモリー名を表示できても見にくいです

操作性

エアーバンド受信では、周波数変更などスピーディーな操作が要求されるので、操作性は重要です。特にハンディーで問題になります

テンキーはできる限りあった方が良いです。決まった空港でしか聞かない人は不要に思えますが、実際使ってみるとやはり不便です
例えば、急に周波数をいわれた場合、メモリーを探すより、直接入力した方が早いです

キーの反応がにぶいものがたまにあります。かなりいらいらさせられます

周波数やメモリーのUP/DOWNは頻繁に使います。ダイヤル式とキー式がありますが、これが使いづらいと最悪です

ボリュームとスケルチの操作性は受信機によってかなり違います。最近の機種は、数段階の中から選択する物が多いですが、できればつまみで無段階に変更できる方が望ましいです

操作性は実際使ってみないとわかりません。できれば購入前に一度実機で確認する方が良いです

PC接続

PC接続できると、特にメモリー管理が楽になります
ハンディー機のように、頻繁にメモリーを書き換える場合、本体でやるのは面倒すぎます
IC-R2500などのように、PC接続を前提にした機種もあります
ただし、操作性などはソフトの出来に大きく左右されます
一般的にどのメーカーも、ソフトの更新には前向きでないので、場合によってはフリーソフトの使用も考えると良いです

電源、電池

固定機の場合、ほとんどはACアダプター給電です。純正以外のアダプターを使用すると、故障したり、ノイズの原因になるので、やめた方が良いです
受信機のACアダプターは、トランス式がほとんどなので、「電流容量が多ければ使える」、などという適当な言葉を信じて流用すると、本体の故障を招きます
スイッチング式を使用すると、ノイズが乗る場合があります

ハンディーは電池運用中心です。ACアダプターは付属する物と、オプションの物があります
最近は元々二次電池が付属する場合が多いので、ACアダプターも付属している場合が多いです
ハンディーでは電池の種類が重要で、複数持って行く場合に電池の種類が違うと、非常に不便です
また、特殊電池の場合、場合によっては充電器も持って行く必要があり、荷物を増やすことになります
IC-R20は、元々リチウムイオン電池が付属しますが、単三電池も使用できるようになっており、使い勝手を向上させています
また、特殊電池は将来的に電池買い換えのコストや、電池が販売中止になる危険性もあります
単三電池2~4本がもっとも望ましいと思います

電池運用の場合、使用可能時間も重要です
エアーバンドではバッテリーセーブモードを使用すると、頭切れになるため通常モードでしか使わない場合が多いです
8時間くらいは持たないと、出先で電池交換することになり、不便かつ電池を大量に消費することになります
エネループなどの二次電池を使うことで、電池代の節約、環境に優しくなるメリットがあります

車載での使用を考える場合、ハンディー機を使うのが便利です
多くのメーカーが、車用電源キットを販売しています
元から付属する製品もあります

アンテナコネクター

アンテナのコネクターには、BNC, M, N, SMA, RCAなどがあります
一般的なのは固定機ではM, BNCで、ハンディーではBNC, SMAです

Nは高級固定機、RCAは主にHFを聞けるラジオなどで使用されていますが、少数派です
また、2.5/3.5のジャックや、独自の端子を使用する物があります

外部アンテナに付属しているケーブルは、多くはM(BNCのものもあり)なので、受信機のコネクターと違う場合は変換コネクターを購入する必要があります
変換コネクターは一通りそろえておくと便利です

ハンディーでは、BNCが多数派でしたが、最近の機種はほとんどSMAに代わっています
使い勝手ではBNCが上です。BNCとSMAの変換コネクターもありますが、変換コネクター自体が割合大きいので、非常用と思った方が良いです
ハンディーを複数持って行く場合、アンテナのタイプが違うと使い回しができず不便です

ハンディーでは頻繁にアンテナを脱着するため、コネクターがぐらついてきたりする物があります。なるべく丁寧に扱う方が良いです

ヘッドホン端子

主にハンディーで問題になりますが、ヘッドホン端子には直径により2.5/3.5/6.3があります
ハンディーでは3.5が主流で、一部2.5もあり。固定機では3.5または6.3です
一般的なヘッドホン/イヤホンは十中八九3.5なので、2.5の機種では変換プラグが必要です
外出時に変換プラグを忘れると悲惨です。できれば2.5の物は避けたいです
この辺はカタログを見てもわからない場合が多いので、実機で確認するなどした方が良いです

お勧め機種

初めて受信機を購入する人で、とにかく安いの希望、という方なら、IC-R6かDJ-X81が良いと思います。IC-R6はテンキーがないのが致命的ですが、受信性能は中々だと思います。DJ-X81はテンキー付きで機能も豊富ですが、受信性能は今ひとつです。価格はどちらもほぼ同じです

現在受信機が次々にDisconになっています。メジャーなメーカーで普通に購入できるのはicom IC-R6とALINCO製品くらいです。

AR8200Mk3は受信性能が安定しているのがメリットです。機能も豊富ですが、かなり癖があります

AR5000は非常に評価が高いですが、今となっては機能的には古くさいです。感度は普通です。AR8600は使ったことがありませんが、機能はAR8200とほぼ同じです

IC-R1500/2500は感度は並の下。また、デュアルウォッチ機能を使うには、アンテナが2本必要です
IC-R20と同じような欠点がありますが、特に感度が悪い部分は無いようです

アンテナ

受信機は大事ですが、アンテナも同じくらい重要です
アンテナの場合、ほぼ大は小を兼ねます。小型のアンテナはVの感度が悪い物が多いです
最初のアンテナはディスコーンで良いと思います。エアーバンドは帯域が広いですし、他のジャンルを聞きたくなったときにも使えます。専用にはかないませんが、HFも意外といけます
アンテナは受信機一台につき一つがベストです。切り替え機などは損失があり、同時受信もできなくなります
できるだけ高所にあげるのが望ましいですが、雷には十分ご注意を。受信機が火を噴いたら最悪です

感度が物足りない場合は、プリアンプを使うといいです。ただしノイズも増えますので、ノイジーなところだと向かないかもしれません

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